頻尿について
頻繁に尿意をもよおしてしまう病気です。起床してから就寝までの間に8回以上もトイレに行く「昼間頻尿」と、就寝後から起床までに1回以上トイレに行く「夜間頻尿」があります。但し、その日の気候条件や食事・飲食の内容によっても尿意は変わってきますし、もともと個人差もあります。従って、昼間に8回以下であっても、ご自身で排尿回数が多いと感じられている場合は、頻尿といえます。
夜間頻尿について
夜間、排尿のために1回以上起きなければならなくなる夜間頻尿は、加齢とともに増加し、生活の質の低下に強く関与しています。
夜間頻尿の原因は、「1.多尿(24時間の尿量増加)、夜間多尿(夜間のみの尿量増加)」、「2.膀胱蓄尿障害(膀胱の容量減少)」、「3.睡眠障害」に大別され、これらが複合的に併発することもありますので、3つのタイプを識別しながら治療を行います。
頻尿の原因
【過活動膀胱】
膀胱に尿があまり溜まっていないのに、膀胱が勝手に収縮してしまうタイプです。頻繁に尿意が生じ、トイレに何回も行くようになります。日本では非常に多く見られる病気であり、一説によると800万人以上が罹患していると言われています。前立腺肥大症、脳卒中などの脳血管性疾患、加齢などが引き金となることもあります。こうした症状は日常生活やお仕事に支障を生じますし、生活の質を大幅に低下させます。治療で症状を軽減できますので、「歳だから」と諦めず、まずはご相談にお越しください。
【残尿過多】
排尿した後も膀胱内に尿が残っているタイプです。前立腺肥大症による尿路閉塞、腰部椎間板ヘルニアによる膀胱の神経障害などによって膀胱から尿を排出しづらくなり、常に膀胱に尿がたまっているので頻尿になります。進行すると、腎臓まで尿がたまり腎不全を引き起こします。
【多尿】
尿量が異常に増加しているタイプです。健康成人の一日尿量は,おおむね800~1,600mlです。多尿は一般的には,一日3,000ml以上に尿量が増加した状態を言います。水分の多量摂取、利尿剤の使用、糖尿病や腎機能障害などによって起こります。
【尿路感染症】
膀胱炎や前立腺炎により膀胱が刺激され頻尿になります。
【腫瘍性】
膀胱がんが進行すると、膀胱の容積が小さくなり頻尿になります。
【心因性】
神経質な方や、お子さん、あるいは仕事や病気への不安や緊張による心因性の頻尿も多くみられます。
頻尿の治療
水分の摂りすぎが原因ならば、水分を適切に管理することで改善できます。水分量が適正なのに頻尿となっている場合は、主に薬物療法を行います。膀胱の収縮を抑制する抗コリン薬やβ3受容体作動薬などを主に使用します。有効な薬剤がいくつも登場してきていますので、効果と副作用などの出方を見ながら、ライフスタイルや症状に合わせて処方していきます。